細菌性の食中毒 ボツリヌス菌

特 徴

他の食中毒とは異なり神経に作用する。
酸素のないところで産生。
*空気中では12時間以内で毒性を失う。

菌が増殖する時に毒素が産生される。強い神経毒を作る。
熱に極めて強い芽胞を作る。
毒素自体は熱に弱い。
*80℃で20~30分間 又は 100℃で数分間 の加熱

菌は腸管内に長時間存在する。


存在している場所

土壌中や河川、湖、海など自然界に広く分布している。


感 染 経 路

食品や手指などを介して経口感染。
原因食品としては、真空パック、缶詰、瓶詰などが多い。
*自家製のものは注意が必要

日本で発生した食品例では、いずし、真空パックのからしれんこん
輸入キャビア瓶詰、輸入グリーンオリーブのガラスビン詰め など
海外では、ハムソーセージ類も。


発生しやすい時期

季節との関連性は低いとされています。
発生件数は少ない。
2006年9月~2012年3月までの患者数は5件、死者0件。
毎年発生するような食中毒ではなく、季節もバラバラ。


潜 伏 期

通常は12時間から36時間 
3時間から14日までの報告もある。


主 な 症 状

嘔気、嘔吐から始まり、その後短時間で神経麻痺症状が出現。
下痢、腹痛、便秘などの消化器症状がみられることもある。
重症例では、呼吸筋など麻痺による呼吸困難。

神経麻痺症状
複視、眼瞼下垂、瞳孔散大、構語困難(舌のもつれ)、筋力低下、
脱力感、嚥下困難、呼吸困難 など


経 過 ・ 予 後

以前は細菌性食中毒の中で致死率が最も高かったが、近年では治療
の進歩で低下。
後遺症として、神経症状が数カ月から1年続くことも。


治 療

早期の抗毒素療法(ボツリヌス抗血清の投与)
対症療法。
呼吸困難に対しては呼吸管理(人工呼吸器や酸素吸入など)
輸液、感染症がある場合は、抗生物質の投与など。


予 防

食べる直前に加熱。
缶詰や瓶詰など密封容器が膨張している場合や、異臭がする場合は
食べない。
自家製のものを作る時は注意する。


◆メモ◇~~~~~~~~~~
●乳児ボツリヌス症について
乳児の場合は、便秘が数日続き、哺乳力の低下、全身の筋力低下、
眼瞼下垂、無表情、泣き声が小さくなる、頸部の筋力低下で首が
すわらなくなる などの症状。
乳幼児の場合は、ハチミツ、コーンシロップ、野菜ジュース、野菜
スープなどは避ける。
*厚生労働省(旧厚生省)は1987年に「1歳未満の乳児にハチミツ
を与えないように」通知。
     
予後は良好で、致死率は通常のボツリヌス食中毒より低い。
*日本では死亡の報告例はない。
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  食中毒 項目一覧


◇参考文献
インターネット
国立感染症研究所感染情報センターHP内
乳児ボツリヌス症とは
http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/ha/botulinum.html
感染症の話(乳児ボツリヌス症)
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k99-g52/k99_47/k99_47.html
ボツリヌス菌毒素の構造と作用
http://idsc.nih.go.jp/iasr/29/336/dj3361.html
食品安全委員会HP内
http://www.fsc.go.jp/sonota/c.botulinum.pdf
厚生労働省HP内(生物兵器テロの可能性が高い感染症について)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/0110/h1015-4.html
横浜市衛生研究所HP内
http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/eiken/idsc/disease/botulism1.html