花粉症とは?
植物の花粉が原因で引き起こされるアレルギー疾患の一つです。
人体を防御するための免疫反応が過剰に起こると、アレルギー症状が現れます。
花粉が目や鼻などの粘膜に付着すると、異物を体外へ排除しようとする体の免疫反応が働きます。この反応が過剰になると不快な症状が現れます。
はじめて花粉が体内に侵入してきた場合は、その花粉に対する抗体ができます。これは正常な免疫反応の一つです。抗原抗体反応と呼ばれます。抗体にはいくつか種類がありますが、花粉に対する抗体は、IgE
抗体と呼ばれています。
抗体が出来た体内に、同じ花粉(抗原)が侵入してきた場合は、それに対抗しようとして、次々に抗体が作られます。
IgE抗体(アレルギーを引き起こす抗体)がある一定の量を超えた時に症状が現れるようです。
*量には個人差があります。
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抗原
体外から入ってきた異物に反応して、抗体を作る物質。
抗体
抗原に対して特異的に働く免疫グロブリンの総称。
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花粉の種類と飛散時期
気候や地域によって多少の違いはあります。
1月~5月→ ハンノキ
2月~4月→ スギ
2月~5月→ シラカンバ マツ ブナ ニレ
3月~5月→ ヒノキ
3月~10月→ イネ
4月~6月→ クワ コナラ
4月~8月→ オオアワガエリ
5月~8月→ カモガヤ
8月~10月→ ヨモギ ブタクサ イラクサ
春から夏 → タンポポ
花粉症の原因となる花粉は60種類以上あると言われています。
ここでは主な花粉を記載しました。
花粉症の症状
花粉症の4大症状
目のかゆみ・鼻水・くしゃみ・鼻づまり
①鼻の症状
くしゃみ
鼻づまり
鼻水
鼻の中(鼻粘膜)の痒み
②目の症状
目の痒み
目の充血
涙がでる
③その他の症状
頭痛
発熱
顔のむくみ
喉の痒み、痛み
*口のなか(口腔)がかゆくなる場合もあります。
肌のあれ、痒み
集中力が落ちる
イライラ感 など
鼻や目などの症状は、花粉に触れてから10分ほどでピークになるようです。又、花粉以外の要因もいろいろ重なって症状が悪化する場合もあります。
症状の程度は個人差があります。
他の疾患との区別
毎年特定の季節に症状が出る場合は花粉症が関係している場合が多い。
普通の風邪は1週間ほどで治りますが、花粉症の場合は症状が長く続きます。
花粉症の治療
確実な治療方法はないとされています。
他のアレルキー疾患、例えば、気管支喘息やアトピーなどと同様に症状緩和、予防、体質改善などが主な対策になります。
(1)症状を緩和する薬(内服・点眼・点鼻)
・抗ヒスタミン剤
・化学伝達物質遊離抑制剤
・ロイコトリエン拮抗薬
・副腎皮質ホルモン剤(ステロイド薬)
☆花粉が飛散する2週間ほど前から使用すると効果が高い様です。
・漢方薬
即効性は期待できませんが、体質を改善する方法の一つです。
体質改善により、症状の緩和も期待できます。
(2)減感作療法(免疫療法)根本的な治療に近い療法
アレルゲン(アレルギーを引き起こしている原因・ここでは花粉)を少しずつ体内に入れて、体をならしていく療法です。
体質改善にもつながります。
主にスギ花粉症の方に効果が期待できます。
体内に注入(皮下注射が一般的)して、少しずつ量を増やしていく療法です。
回数は初期は週に1~2回、その後は2週間に1回、1~2ヶ月に1回
実施します。
治療期間は2~3年といわれています。
*個人によって違いがあります。
メリット
アレルゲンに対しての過剰反応自体が起きない、又は起こり難くくなります。
根治の期待があります。
デメリット
治療期間が長いため、根気が必要。
稀に全身の過敏反応(アナフィラキシー)の危険がある。
実施している医療機関が少ない。
(3)外科的手術療法
鼻づまりの強い人で薬があまり効かない方や、レーザー治療などが受けられない又は効果のない方には手術療法もあります。
鼻の粘膜や骨を削る手術(鼻粘膜下下甲介骨切除術)
鼻の神経を切断する手術(鼻粘膜下後鼻神経切断術)
*主に鼻水の分泌を抑える手術です
鼻中隔が曲がっている場合は、真っ直ぐにする矯正術(鼻中隔矯正術)
*鼻中隔が曲がっている方に実施されます。
(4)その他
舌下減感作療法(SLIT・スリット)
レーザー治療
アルゴンプラズマ療法
凍結術 等。
自分で出来る花粉症対策
(1)一般的に知られている対策
外出する時は、マスク・メガネマなどを着用。
花粉症用のものを使用すると効果は大きい。
頭にも花粉が付きやすいので、帽子などで避ける。
羊毛製の衣類は花粉が付きやすいので、表面がすべすべした綿かポリエステルなどの化学繊維のものがいいとされています。
外出先から帰ったら、家に入る前にコートや帽子、上着などに付いた埃や花粉などをよくはらう。
出来ればすぐ着替える。
外で使用したマスクはすぐ捨てるか洗濯する。
洗顔、うがい、鼻や目を洗う。
水道水よりは生理食塩水の方が粘膜には優しい。
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*生理食塩水
食塩を蒸留水などで溶かしたもので
濃度が約0.9%の食塩水を生理食塩水といいます。
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アルコールを飲み過ぎると鼻づまりを悪化させることもあります。
タバコは控える。
睡眠・休養を十分にとり、ストレスを溜めないなど、日常の生活習慣も大切になります。
花粉の多い日は外出時間を短くするか、外出を避ける。
最新の花粉情報をチェックしておく等。
(2)実際の効果は不明だが期待される対策
甜茶(てんちゃ)ポリフェノール
ヒスタミンの作用を和らげる効果があると言われています。
ヨーグルト
腸内の環境を良くすることで、免疫の過剰な反応を抑えるとこと
ができると考えられています。
緑茶
緑茶に含まれているカテキンには抗アレルギー作用があるといわれています。ヒスタミンの放出を抑制する作用があるようです。
鼻の穴に塗るクリーム
鼻の穴の内側にぬることで、外からの花粉や埃などをの侵入を妨げる効果があると言われています。
衣類用の静電気防止スプレー
花粉の付着を防止する効果が期待されます。
髪用の花粉防止スプレーなどもあります。
(3)体質改善
体質改善で免疫機構を正常に働くようにすることが、最も大切かもしれません。
体質改善には食生活の改善、生活環境の改善、漢方薬療法、リラックス療法など様々な方法があります。
*個人に合った方法で続けていくことが大切になります。
花 粉 症 最 新 情 報
◇ 黄砂と花粉症との関連
中国から飛んでくる黄砂によって、アレルギー症状が増悪すること
がわかってきました。
花粉が多く飛ぶ時期と重なるので、3月から5月にかけての外出は
特に注意が必要です。
◇ 最新の治療情報
●舌下減感作療法(SLIT・スリット)
アレルゲンを口の粘膜から体内に入れる療法。
細かくしたパン等に、アレルゲンを浸みこませ、舌の下に保持して
粘膜から吸収させる方法です。
日本ではまだ研究段階で、臨床試験では皮下注射と同じくらいの効
果が認められているようです。
皮下注射と比較すると、通院の回数が減り、注射による苦痛からも
解放されます。
厚生労働省の研究班で臨床試験が実施されている段階。
●レーザー治療
花粉が付着する鼻の粘膜を、レーザーで少し焼いて粘膜の性質を変
化させます。変化した粘膜は、花粉に対して過剰な反応を起こりに
くくします。
反応を抑制する対症療法です。
CO2レーザーなどが一般的。
アレルギー性鼻炎の場合は、健康保険が適応されます。
鼻水などの症状が出てる時は、うまく焼くことが困難なため、アレ
ルギー症状のでる前に受けることが大切です。
●アルゴンプラズマ療法
原理はレーザーと同じで対症療法です。
特に鼻づまりには効果が高いようです。
レーザーとの違いは、症状がある時でも照射が可能。
照射する時間が短いなどです。
保険適応です。
レーザーと違ってアルゴンガスの風圧で、鼻水を吹き飛ばすことが
出来るため、症状が出ている時でも治療を受けることができる様です。
●凍結術
アレルギー反応に関係する鼻の神経(後神経)を低温で冷やして性質
を変化させる療法。
他にもいくつかあるようです。
花粉症のはてな?
◇ 大人になってから出現したのはなぜ?
子供の頃は出なかった症状が大人になってから出現したのはなぜ?
花粉が体内に入ると、花粉に対する抗体が作られます。
この抗体(IgE抗体 )の量がある一定の量に達した時に、症状
が現れやすいといわれています。
一定の量には、個人差があります。
成人になるまで花粉に何度も触れているため、抗体がある一定量を
超えてしまって、症状が出やすくなっているケースもあるようです。
☆中高年よりも若い年代に花粉症が多いのは、アレルゲンに対して
過敏に反応する人が多いからといわれています。
◇ 花粉症の症状を悪化させる要因は?
精神的肉体的ストレス、大気汚染、ハウスダスト、風邪、タバコ、
過労、飲酒 などです。
◇ 何 科 に 受 診 ?
アレルギー科
アレルギー科がなければ、内科、耳鼻咽喉科、眼科。
子供の場合は、まずは小児科の方がいいかもしれません。
花粉症の症状では、鼻の症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまりなど)が多いので、耳鼻咽喉科に受診するケースが多いようです。
目の症状が強い場合は眼科の方がいいと思います。
◇ ど ん な 検 査 が 必 要 ?
●鼻鏡検査
鼻の中の粘膜が炎症を起こしているかどうか直接眼で確認します。
●皮膚反応検査
アレルギーの原因と考えられる花粉のエキスを、皮膚に注射(皮内
テスト)又は、貼付(パッチテスト)垂らす(スクラッチテスト)
などして、皮膚が赤くなるかどうか調べます。
●血液検査
IgE 好酸球 などの項目を調べます。
◇ 一度症状が現れたら完治しないの?
根本的な治療に近い方法、例えば減感作療法などで完治する場合も
あるようです。
体質が改善されれば症状がずっと出ない方もいらっしゃるようです。
◇ 花 粉 症 の 人 の 割 合 は ?
スギ花粉症の場合は、全国で20%を超えると報告されているよう
です。
◇ 花 粉 症 に な り 易 い 人 は?
原因となる花粉の多い地域に住んでいる人。
首都圏に住んでいる人に花粉症が多いのは、汚染された大気中の物
質が関係しているのではないかと言われています。又、都会では緑
や地面が少なくアスファルトが多いため、埃などと一緒に空気中に
舞い上がりやすくなるのも一因とされています。
◇ 抗 体 が 作 ら れ や す い 人
抗体を作り易い人がすべて、症状が出るとは限らないようです。
環境的な因子や遺伝的な素因、個人の体質、食生活など様々な要因
が重なってアレルギーが起こしやすくなっていると言われています。
◇ 一 番 多 い 花 粉 症 の 原 因 は ?
日本人はスギが一番多い。
スギ花粉症の人は、ヒノキにも過剰反応する割合が高い。
◇ 男 性 と 女 性 で は ど ち ら が 多 い ?
女性の方が多い。
◇ 一 日 の う ち で 花 粉 の 量 が 多 い 時 間 帯 は ?
正午から14時
16時から18時
都心の場合は、山から風にのって運ばれてくる為、夕方の方が多い。
雨が降った後の晴天の場合は多くなります。
◇ 花粉が多く飛ぶ条件は?
一般的には、天気がよく気温が高い、湿度が低い、風が強い、などです。
◇ 若 い 人 と 年 配 の 人 と で は、ど ち ら が 多 い ?
若い人のほうが多い。
中高年よりも若い年代に花粉症が多いのは、アレルゲンに対して過
敏に反応する人が多いからといわれています。
◇参考文献
インターネット
厚生労働省HP内
花粉症特集
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/kafun.html
花粉症Q&A集
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/kafun/ippan-qa.html
環境省HP内
環境省花粉情報サイト
http://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/index.html